造精機能障害と鍼灸
前にも述べたように、造精機能障害の中の原因の内訳は、精索静脈瘤の場合が約4割。残る約半数は原因不明とされています。それはすなわち約半数に治療法がないということでもあります。
言いかえれば、これを改善することができれば不妊治療の段階を下げることができる可能性があるということにもなるのではないでしょうか。
鍼灸で得られる可能性
当院が所属する『JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)』では、男性不妊の重要性にも着目しています。
明治鍼灸大学の伊佐治景悠先生が現在、「鍼灸が造精機能に与える影響」の研究を行っています。その中で以下の2点に変化が確認されています。
① 鍼灸施術後に精漿中のPSA(前立腺特異抗原)の濃度が上昇するというデータを蓄積。(PSAの濃度の上昇→精子の運動性が高まる)
② 精巣の交感神経領域への鍼灸施術により精巣の血液循環が良好になる。
① に関しては、施術直後に運動率に変化がみられることがわかっているのでタイミング・AIH前日・OPU前などの施術での効果も期待できます。
② については、以下の項目の上昇がそれぞれ見られます。
- 総精子数
- 精子濃度
- 運動率
- PSA成分
ただし、これについては3カ月後には施術前の数値に戻ってしまうこともわかっており、単発でおこなうのではなく継続した方がよいこともわかっています。
もう少し詳しくお聞きになりたい方、鍼灸を始めてみようと思われる方は検査結果をお持ちになって 一度ご相談にいらして下さい。