不妊治療と鍼灸~卵胞の発育と卵巣刺激~
2017年04月05日 | 不妊治療と鍼灸日々のいろいろ
体外受精では 卵巣を刺激して 時には10個以上の卵を採卵します。
でも、自然な生理周期では ほとんどの場合1個の卵子のみが排卵されますよね。
では、体外受精では なぜ一度に複数の卵が採卵できるのでしょうか。
その前に、まず 卵巣の中で卵が育っていく仕組みを説明していこうと思います。
卵巣の中には卵子の元となる原子卵胞があり 一回の生理周期に
約1000個の原子卵胞の中から1個が 主席卵胞 として排卵されます。
つまり、1生理周期に999個は無くなっているのです。
その1000個の中から1個が選ばれて排卵されるそのしくみは・・
その指令は まず脳の視床下部というところから GnRH(ゴナドトロピン–リリーシング ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌されることから始まります。
GnRHは視床下部の下部にある下垂体の前葉を刺激して文字通り性腺刺激ホルモンの分泌を促します。
ゴナドトロピン=性腺刺激ホルモン とは FSH(卵胞刺激ホルモン)と LH(黄体化ホルモン)のことを言い、下垂体から分泌された
FSHと LHは血流に乗って卵巣内の卵胞へ届きます。
卵胞は卵子の周りを包む細胞で 内側から顆粒膜細胞、そして基底膜を挟んで莢膜細胞 という層構造になっています。
卵胞に届いた LHは外側の莢膜細胞にくっついてコレステロールを原料にしてプロゲステロン(黄体ホルモン)とアンドロゲンを産生します。
(実はアンドロゲンから男性ホルモンのテストステロンも産生しています。)
莢膜細胞で産生されたアンドロゲンは 基底膜を通過して顆粒膜細胞でFSHの刺激によりエストロゲンへと転換されています。
これらエストロゲンを作る力はどの卵胞も同じではなく、
FSHに対する感受性が高い卵胞数個が大きくなっていきます。
そしてその中でエストロゲンを産生する力が最も高い卵胞は、さらにFSHに対する感受性が高まりエストロゲンをより多く作り出します。
エストロゲンの濃度が高くなると下垂体からの FSHの分泌量を抑制するので FSHに対する感受性が高くない卵胞は成長できなくなり退縮してしまいます。
また、LHの濃度も高くなり
LHサージ を起こし生き残った卵胞から排卵させるのです。
これが自然な月経周期による排卵の仕組みです。
体外受精では、たくさんの卵を育てるために FSHをより多く、長く卵巣に届けなければいけません。
クロミッド や FSH製剤 を使いますが、そうすると先に書いた機序でLH濃度が高くなり勝手に排卵してしまいます。
それを防ぐために LH濃度を抑えて排卵しないようにして FSHの刺激を続けることで自然では淘汰されてしまう卵胞も大きく成長させることができるのです。
このようにして、体外受精では 複数の卵の採卵が可能になります。
鍼灸の施術では 卵巣への血流を促進でき、採卵成績も 鍼灸前に比べて良好になっているという統計があります。
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